南三陸町にある南三陸町自然環境活用センター。
ここで研究員を務める阿部拓三博士は、
今、志津川湾の海水温が急激に上昇していると話します。
これまで、三陸沖は、北から流れてくる親潮と南からくる黒潮がぶつかる地点であり、
温かい海に生息する生き物の北限であったり、冷たい海に生きる生き物の南限でした。
しかし近年、親潮と黒潮がぶつかる場所が北上し、
志津川湾に棲む動植物に変化が起こっているそうです。
その海洋生物の変化を調べる方法の一つが「環境DNA」の調査。
海洋生物や海藻が生きていく過程で、排泄物や古くなった皮膚が海に溶け出します。
海水を汲んで、そこに含まれる「環境DNA」を調べることで、
その海域にどんな生き物が生息しているかということが分かります。
この調査を同じ地点で継続しいていると、
ある時期から特定の魚が棲むようになった、
また逆にいなくなったということが観測されます。
そのデータを蓄積し、
海水温の変化やその他の調査結果とあわせてを総合的に見ていくと、
海の変化とその原因が見えてきます。
さらに、その結果や傾向を基に、海の変化を予想することもできるようになります。
その情報は、漁業者に提供され、漁獲対象の変化への対応や養殖の計画の参考とすることができます。
地球環境の変化は、否応なく私たちに影響を及ぼします。
その変化に対応していくために、海の変化を予測することはとても重要なことです。
今後の「環境DNA」調査に期待が掛かりますね。