毎年恒例!「海と日本プロジェクト」オリジナルイベントが9月25日(土)26日(日)の2日間、気仙沼と仙台で開催されました!
タイトルは昨年と同じく、「カツオを愛し、カツオに愛される気仙沼の海を感じ隊」
宮城県内の小学5~6年生 19 人が参加してくれました。
気仙沼は、黒潮に乗って北上してきたカツオが三陸沖に集まり、カツオ漁が最盛期!
生鮮カツオの水揚げ24年連続日本一を誇る気仙沼の海からスタート。カツオ漁とそれを支える人たち、そして食卓に至るまでを巡り、カツオがやってくる気仙沼の豊かな海の環境や、持続可能な漁業、気仙沼の暮らしや営みの中心にあるカツオと人との関係などについて理解を深め、将来にわたり海を守っていくために何が必要か、子どもたちに問題意識を持って考えてもらいました。
最初に伺ったのは、長年、気仙沼の海の環境を研究している”森は海の恋人”。24年連続生鮮カツオの水揚げ日本一を誇る気仙沼の海の秘密を探るため、子どもたちは船に乗り込み舞根湾へ。”森は海の恋人”の副理事長 畠山信さんががすくい上げてくれた海水を見ると、無数の粒々で濁って見えます。この粒々全部、プランクトンです。船の上からだと澄んで見える海の中に、こんなにたくさんのプランクトンがいることを知り、驚く子どもたち。たくさんのプランクトンがいることで気仙沼の海にイワシが集まり、さらにイワシを餌にしているカツオも集まって来ることを知りました。
気仙沼の海を取り囲むリアス式海岸。背後には、急峻な山がそびえており、その山から栄養豊かな水が川を伝って、海に注ぎ込んでいて、その栄養で大量のプランクトンたちが発生します。つまり、山・川・海はつながっています。そのことは、私たちの生活も海につながっていることを意味していて、街でごみが捨てられると、川から海に流れ込み、海に暮らす生き物たちの生態にも影響します。ごみをポイ捨てしない、ごみが落ちていたら拾う。そんな小さなことでも、海を守ることにつながるということを知った子どもたちの表情に、新たな意識が芽生えたのを感じました。
24年連続水揚げ日本一を誇る気仙沼のカツオですが、昔と比べると水揚量が減っています。
その要因のひとつに、獲りすぎによるカツオの資源量の減少が指摘されています。一方で、1匹ずつ釣り上げる一本釣り漁のように、カツオの資源量を保ちながら行うことができる持続可能な漁法を見直して行く必要があることを子どもたちに学んでもらいました。
そして、㈱カネシメイチ 専務取締役の小山 恵三さんのレクチャーを受けながら、カツオ一本釣りを疑似体験!小型カツオと同じ約2㎏の模型が付いた釣竿を振り上げていく子どもたち。思った以上の重さに苦戦しながらも、勢いよく釣り上げられたときは、とても満足げでした。
カツオは、とても傷みやすい魚。新鮮でおいしいカツオを食べてもらうためには、鮮度を保つことが重要で、氷は欠かせません。この時期、1日に最大約200トンの氷を作っている製氷工場ならではの技術が詰まった製氷工程を岡本製氷で見学させていただきました。
そして、でき上がった氷が保管されている貯蔵庫へ。気温は、マイナス10℃。肌を刺すような寒さに、「寒~い!」と声を上げながらも、目の前に広がったのは、青く澄んだ氷の世界に感動する子どもたち。
こうして作られた氷は、朝5時頃から始まるカツオの水揚げが始まる前に、市場に届けられています。普段、何気なく食べているカツオですが、その裏には毎朝早くから働いている人がいることを学びました。
まな板の上には、立派なカツオ。初めて間近に見るカツオに興味津々の子どもたち。気仙沼の海の幸を使った加工品の製造・販売などをしている㈱斉吉商店の常務取締役 斉藤吉太郎さん、店舗「鼎・斉吉」の店長 斉藤啓志郎さんに目の前でカツオをさばいていただきました。
「いただきます!」の掛け声とともに、カツオを口にする子どもたち。「おいしい!」「いつものカツオと全然違う!」「こんなおいしいカツオ初めて」カツオ本来のおいしさを知り、感動した様子。
新鮮なカツオの味とともに、昔からカツオを刺身で食べてきた気仙沼の食文化を学びました。
気仙沼は生鮮カツオの水揚げ日本一ですが、高知はカツオの消費量日本一。遠く離れた宮城と高知の子どもがオンラインで交流。土佐市立宇佐小学校の子どもたちが参加してくれました。お互いにカツオに関するクイズを出題し合い、地域によって食文化、歴史、伝統などが違うことを学びました。一方で、カツオを通して、海がつながっていることも知り、遠い地域や国の海で起きていることも自分ごととして考えるきっかけになりました。
2日間に渡る「カツオを愛し、カツオに愛される気仙沼の海を感じ隊」の成果として、海洋連盟の後藤 学さんにレクチャーしていただきながら、気仙沼の海とカツオについて学んだことをポスター作成。。気仙沼の海の豊かさを支えているプランクトン、カツオを獲りすぎない一本釣り漁、カツオの鮮度を保つ製氷工場、カツオ本来の美味しさを味わった刺身・・・などなど、各々が自分の視点でとらえた気仙沼の海とカツオの魅力を、上手に絵と言葉で表現しました。
子どもたちが描いてくれたポスターは、斉吉商店の「カツオたたき漬丼」と「たっぷり生姜かつお煮」のラベルで使用していただくことが決まっています!元気なカツオたちが描かれたデザインになる予定です。
カツオが巡ってくる気仙沼の豊かな海の環境や、気仙沼の暮らしや営みの中心にあるカツオと人との関係について学んできた「カツオを愛し、カツオに愛される気仙沼の海を感じ隊」。2日間で、たくさんのことを学び取り、将来にわたり海を守っていくために何が必要か、自分には何ができるか考えるきっかけになったはず。これからもっと多くのことを学び、さらに成長していってくれることを期待しています。